財務省が国有地売却に関連した決済文書を書き換えた問題が全てのメディアのトップを飾っている。それほど重大な問題だということだ。そう思いつつ今朝目に留まったのは、英国のメイ首相が元スパイ襲撃事件に関連して「ロシアに責任ある疑い、極めて高い」と発言したことだ。NHKによると事件は今月4日に起きた。「イギリス南部の都市ソールズベリーでロシアの元スパイのセルゲイ・スクリパル氏とその娘がショッピングセンターのベンチで意識を失って倒れているのが見つかったもので、警察は何者かが有毒な神経剤を使って2人を暗殺しようとしたとみて捜査しています」この事件についてメイ首相が12日議会で、「使われた神経剤はロシアで開発されたノビチョクと呼ばれる軍用のものだ」と報告した。

メイ首相はロシアが直接、事件に関与したか、あるいは神経剤の管理に不備があった可能性を指摘し、「ロシアに責任がある疑いが極めて強い」と述べた。当然ロシアは反論する。NHKによるとメイ首相の発言に先立ってロシアのプーチン大統領は、「まずはイギリス側が何が起きたか解明すべきで、議論するのはそのあとだ」と牽制した。メイ首相の議会報告のあとにはロシア外務省のザハロワ報道官が、「議会におけるサーカスのショーのようだ。挑発的な政治キャンペーンであることは明らかだ」と述べ、ロシアの関与を改めて否定した。真実はよくわからない。ただ、「イギリスでは2006年にロシアの治安機関の元職員が放射性物質ポロニウムで殺害される事件」が起きている。同じことが2度もイギリスで起きているのだ。

神経ガスで思い出すのは北朝鮮の金正恩委員長の異母兄である金正男氏が昨年2月、マレーシアのクアラランプール国際空港で殺害された事件だ。米国はつい最近この事件は北朝鮮による犯行だったと正式に認めている。この時使われたのはVXガスだ。日本でもオウム真理教が使っている。イギリスで使われたのは「ノビチョク」という神経ガス。NHKによるとこれは旧ソビエトで1970年代から1980年代にかけて製造され、化学兵器として配備されたもの。毒性の強さは、VXの5倍から8倍。猛毒のガスだ。これをロシアが本当に使っていたとすれば言語道断というしかない。シリアの政府軍にも毒ガス使用の疑いが絶えない。ロシア、北朝鮮、シリアに共通する神経ガスの使用疑惑だが、この3国は水面下の深いところでつながっているのだろうか。