フェイスブック(FB)やアマゾンが批判を浴びる中でグーグルの業績は絶好調だ。昨日発表されたグーグルの持ち株会社・アルファベットの1−3月期決算は、純利益が前年同期に比べて73%増の94億100万ドル(約1兆218億円、日経新聞調べ)に達した。アップルがiphoneXの不振で業績の先行き懸念が強まっていることに比べ際立った違いを見せている。米国を牽引するIT関連のビック5を見ると、FBが個人情報の漏洩で世界中から非難を浴びている。業績堅調なアマゾンはトランプ大統領から税金の未払いとか、米郵政公社に対して不当に安い運賃を強要しているなど、様々な批判にさらされている。こうした中でグーグルは、一人我が道を行く印象だ。
日経新聞によるとアルファベットの売上高は同26%増の311億4600万ドル。うち86%を広告収入が占め、スマートフォン(スマホ)や動画投稿サイト「ユーチューブ」向けの広告も伸びたという。純利益の内訳は主力の広告事業が同24%増と好調、クラウドなど非広告事業も伸長した。グーグルとフェイスブックは、ユーザーから集めたデータを事業に生かすビジネスモデルを採用している。いってみれば似た者同士。だが、FBのザッカーバークCEOはこれまで個人情報の保護にはほとんど注意を払ってこなかった。その結果が7500万人分の個人情報の漏洩という形で跳ね返ってきた。上下両院の公聴会に出席した同CEOは個人情報に関する「認識が甘かった」と謝罪している。
経営を取り巻く環境が似ているグーグルにも、情報漏洩の危険性は常につきまとっている。日経新聞によるとアナリスト向けの電話会見でスンダー・ピチャイCEOは、「個人データの扱いに注意を払っている点を強調した」とある。FBに比べれば転ばぬ先の杖、個人情報の保護に万全の注意を払っているということだろう。アップルはアイフォンの先行きに陰りが見え、個人情報の利用で懸念が広がるFB。アマゾンにもトランプ大統領の執拗な“口撃”が続く。グーグルの決算は絶好調だったが、グローバル時代を牽引してきた米国のITビック5にも何やら変調の兆しが見えてきたような気がする。