元財務事務次官のセクハラ問題を受け、立憲民主党など野党6党は「大臣のけじめなくして国会論議なしだ」(立憲民主の辻元清美国対委員長)などとして、麻生太郎財務相(77)の辞任を求めて審議拒否を決め込んでいる。しかし世論調査の結果を見る限り、この戦術に国民の広い支持は得られそうになく、とりわけ若者にソッポを向かれるリスクをはらんでいる。
産経新聞とフジニュースネットワーク(FNN)が4月21、22両日に実施した合同世論調査で、一連のセクハラ問題に関して麻生氏が辞任すべきかと尋ねたところ、「辞任の必要はない」が49・8%となり、「辞任すべきだ」の45・6%を上回った。
大差がついたわけではないが、年代別に分析すると興味深い傾向があらわになる。若年層(18、19歳と20代)では「辞任の必要はない」が71・7%と多数を占め、「辞任すべきだ」は26・8%止まり。逆に高齢層(60歳以上)では「辞任すべきだ」が58・4%で、「辞任の必要はない」が35・5%だった。
審議拒否戦術への賛否を直接、尋ねた設問ではないので、この結果だけでは「審議拒否は若者の支持を得られない」ということはできない。ただ政党支持率の推移をたどれば、この数カ月で若者の支持が野党からますます離れつつある傾向も確かにみてとれる。
野党第一党の立憲民主党は昨年10月の結党以降、高齢層での支持率は20%前後を行き来している。昨年の衆院選での躍進も高齢者の支持が原動力だったと指摘されたが、高齢層にはそれなりに安定した支持基盤を築いているとみてよさそうだ。
では、若年層の支持率はどうか。昨年10月の結党時こそ3・6%と低調だったが、衆院選での躍進の余勢を駆り、同11月に11・6%、同12月には13%と、順調に支持を伸ばした。
ところが今年に入ってからは息切れ気味だ。通常国会が始まり、野党第一党として露出は増えたはずだが、直近の4月調査では6・5%と、ピークから半減した。男性に限定すればわずか1・4%となり、民進党時代と変わらない水準まで落ち込んでいる。国会対応をめぐる露出増が、逆効果になっている可能性がある。
同じ旧民主党をルーツにもつ希望の党と民進党はさらに悲惨だ。直近の4月調査で、希望の支持率は若年層2・9%、高齢層1・5%。民進は若年層0%、高齢層2・3%だった。数字が低すぎるため、まともな精度で推移をたどることも難しい。
こうした野党の状況とは対照的に、自民党の支持率は堅調だ。同じ昨年10月以降の推移をみると、高齢層では少なくとも35%、若年層では40%の固い支持がある。「モリ・カケ」やセクハラ問題で安倍晋三内閣の支持率が続落する中でも政党支持率は底堅い。野党の状況を見る限り、この構造は当面変わりそうにない。 (政治部 千葉倫之)