• 五つ星と同盟、新政府首相に法学教授のコンテ氏を提案
  • コンテ氏、首相就任なら2党から絶えず圧力受け続ける見通し

イタリア新政府の輪郭が見え始めてきた。次期首相は自らの権力基盤を持たず、2人の重量級閣僚に対処する必要がある。それが政治家としてまず第一の仕事となるだろう。

反移民政党「同盟」のサルビーニ書記長との合意を成立させた反エスタブリッシュメント(既存勢力)政党「五つ星運動」のディマイオ党首は21日、連立政府の首相にフィレンツェ大学法学教授のジュゼッペ・コンテ氏(53)を提案したと発表。コンテ氏が最終的に首相に就任すれば、新政権の政策を考案したポピュリスト2政党から絶えず圧力を受け続けることになる。

ジュゼッペ・コンテ氏
Photographer: Silvia Lore/NurPhoto via Getty Images

三つぞろいのスーツをポケットチーフで飾るしゃれた出で立ちのコンテ氏だが、閣内にディマイオ、サルビーニの両氏を抱える公算が大きい。ディマイオ氏(31)は労働・経済発展相、サルビーニ氏(45)は内相に就任する可能性がある。

両者の個人的・政治的競合関係をコンテ氏が抑えることができるのかが、同氏の首相指名を承認するか最終的に判断するマッタレッラ大統領には懸念になる。首脳会議でコンテ氏がメルケル独首相やマクロン仏大統領と相対した際に、毎回サルビーニ氏やディマイオ氏に電話してお伺いを立てるわけにはいかないと、イタリア政府の幹部は口にする。

ローマのルイス大学で政治科学教授のロベルト・ダリモンテ氏は、このような前例がないと指摘し、「コンテ氏は単なる政策執行者で、他人が決めた政策を実行していくのだろうか。または五つ星と同盟、2党と欧州他国との仲介者になるのだろうか」と述べた。

マッタレッラ大統領は21日、ディマイオ、サルビーニの両氏と会談し、22日に自らの決定を明らかにする可能性がある。コンテ氏が指名を受けた場合、来週初めに信任投票が行われ、来月カナダで開かれる先進7カ国(G7)首脳会議で国際的な大舞台のデビューとなる公算が大きい。

原題:In Italy, a Novice Prime Minister May Face Rival Puppet-Masters(抜粋)