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不動産テクノロジーのカドレ、1億ドル以上の調達を図る
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クシュナー氏は協議に参加していないが持ち分維持-利益相反の恐れ
トランプ米大統領の娘婿で大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏が共同で創業し、現在も株式を保有する新興企業カドレは、ソフトバンクグループのテクノロジー投資ファンド「ビジョン・ファンド」から1億ドル(約110億円)以上の調達を図っている。協議を知る複数の関係者が明らかにした。
カドレはテクノロジーを活用した不動産の仲介と投資を手がけ、クシュナー氏の実弟であるジョシュ氏、ハーバード大学の同級生だったライアン・ウィリアムズ氏も共同創業者に名を連ねる。関係者によると、カドレ幹部らは最近数カ月の間にビジョン・ファンド代表者らと非公開の会合を開いた。
カドレの関係者らはクシュナー上級顧問について、同社の運営に積極的に関与していないとしつつ、保有株は手放していないと言明した。直近の財務報告によると、クシュナー氏のカドレ持ち分は500万-2500万ドルと評価されている。関係者らはまた、最近のソフトバンクとの協議にクシュナー氏は参加しておらず、ソフトバンク側からカドレに接触してきたと語った。
交渉の展開は予断を許さず、ビジョン・ファンドの出資は実現しない可能性もあると関係者らは述べた。協議状況についてカドレの担当者らはコメントを控えた。ビジョン・ファンドの広報担当であるアンドルー・コバッチ氏は、ソフトバンクとしてこの件でコメントはしないと回答した。
この取引が実現する場合、主な受益者となりそうなクシュナー氏は政府要職にある立場から、利益相反が疑われる可能性がある。ビジョン・ファンドは1000億ドルの資金のほぼ半分をサウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)から得ており、アラブ首長国連邦(UAE)も150億ドル以上を出資する。クシュナー氏は中東政策の担当で、最近も米大使館の移転に絡みエルサレムを訪問した。
ソフトバンクの孫正義社長は傘下の米スプリントとTモバイルUSとの合併完了に向け、トランプ政権の当局からの承認を必要としている。関係者によると、ソフトバンクのカドレに対する企業評価は進行中で、数週間以内に決定は出ない見込み。
原題:Kushner’s Cadre Is in Talks With Saudi-Backed SoftBank Fund (2)(抜粋)