ウクライナ当局が、「殺害された」と発表していたロシア人ジャーナリストが、発表の翌日、記者会見の場に姿を現し、ウクライナ側は、ロシアによる殺害計画を未然に防ぐために行ったもので、容疑者を拘束したと明らかにしました。これに対して、ウソの発表まで行ったウクライナ側の対応に批判の声も出ています。

ウクライナ内務省は29日、ロシアのプーチン政権への批判を繰り返していたロシア人ジャーナリストのアルカディ・バブチェンコ氏が首都キエフで銃で撃たれて死亡したと発表しました。

ところが、ウクライナ保安庁のグリツァク長官が30日に開いた記者会見の場に、突然、バブチェンコ氏が姿を現し、生きていたことがわかりました。

グリツァク長官は、バブチェンコ氏への殺害計画があるという情報があったため、バブチェンコ氏の身を守り、容疑者を特定するためだったと明らかにしました。そのうえで、ロシアの治安機関から多額の報酬で雇われたとするウクライナ人の男を拘束したことを明らかにし、「ロシアによる仕業は明白だ」と非難しました。

また、バブチェンコ氏は、「命を守ってくれた」と謝意を述べました。

今回、ウクライナ側がウソの発表まで行ったことについて、ロシア議会上院で国際問題を担当するコサチョフ委員長は、「ロシアに対する挑発行為だ」と非難しました。また「国境なき記者団」のクリストフ・ドロワール事務局長は、ツイッターに、「ウクライナ当局の行った小細工に対して最も強い怒りを表明する。偽の物語を作るため、政府がジャーナリストを使って真実をもてあそぶのは非常に危険だ」と書き込み、ウクライナ側の対応を痛烈に批判しました。