[ニューヨーク 15日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが対円で下落した。トランプ米大統領がこの日、中国からの総額500億ドルに上る知的財産権およびハイテクに関連する製品に対し25%の輸入関税をかけると明らかにし、中国も同等規模の措置を導入するとしたことで、世界の2大経済国の間の貿易戦争激化の様相が出ていることが背景。
午後の取引でドル/円は0.05%安の110.57円。円は一時約3週間ぶりの安値を付けていた。円には地政学的な緊張が高まったり市場が荒れたりしている時に安全資産として買われる傾向がある。
米中の関税措置の応酬を受け、オフショア人民元は対ドルで5カ月ぶりの安値を付けた。
コモンウエルス・フォーリン・エクスチェンジ(ワシントン)の首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏は「市場では朝方のトランプ大統領の発表が注目されている」とし、「貿易戦争の懸念が高まるなか、ドル/円はややマイナスの影響を受ける傾向がある」としている。
主要6通貨に対するドル指数は94.761とほぼ横ばい。週初からは1.3%上昇し、1週間の上昇としては7週間ぶりの大きさとなった。
キャピタルエコノミクスのシニア米国エコノミスト、マイケル・ピアース氏は、この日の関税措置を巡る動きだけではマクロ経済的には大きな影響は及ばないとしながらも、こうした動きが保護主義的な様相が一段と強い新たな時代の幕開けにつながる可能性があることが大きな懸念となると述べた。
ユーロ/ドルは0.35%高の1.1608ドル。欧州中央銀行(ECB)は前日、量的緩和を今年10月以降は月間150億ユーロに縮小し、年内に終了する方針を決定し、これを受け前日はユーロは下落したが、この日は回復した。
カナダドルは米中貿易戦争の懸念などが重しとなり、対米ドルで約1年ぶりの安値に迫った。