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トランプ政権下で財政赤字が膨張、財務省は短期の借り入れに依存
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利回りの長短逆転、阻止するために利上げペース減速との臆測も
トランプ米政権の債務管理政策は金融市場に波紋を広げ、それが政策金利を設定する連邦公開市場委員会(FOMC)の仕事を複雑にしている。
ムニューシン長官が率いる米財務省は、膨張する財政赤字を埋める手段として比較的短期の借り入れを選好し、財務省短期証券(Tビル)や短期債の発行を増やしている。このアプローチが資金調達市場にひずみを生み、その結果、米金融政策当局による主要金利調節面で問題が表面化し、バランスシートを巡る議論にも影響が出ている。
FOMCが金利調節の手段を若干変更した13日、債券トレーダーはこの影響の波及を目の当たりにした。しかし影響はそこにとどまらない。米財務省が短期債への依存度を高めることによって、米国債利回りは長短逆転(逆イールド)への動きを加速している。逆イールドはこれまで、景気の悪化を示唆してきた。インフレ加速の兆候が現れてきたにもかかわらず、FOMCは逆イールド防止のために利上げペースを緩める必要があるだろうとの臆測が、投資家の間で広がっている。
ベーカー・グループ(オクラホマシティー)のジェフ・コーロン最高経営責任者(CEO)は、「米金融当局はこれまで以上に財務省の債券発行に注目する必要がある」と指摘。「債券発行がこれまでより複雑になることを、当局は意識しなくてはならない」と続けた。
前四半期がピークだったTビルの流通は、世界中に影響を広げた。ドル相場を押し上げ、新興国市場では複数の中央銀行が利上げ、もしくは通貨介入を余儀なくされた。米財務省が今年、Tビル発行を再び拡大すれば、こうした圧力が再度表面化しかねないと予測するストラテジストは多い。
原題:Crumbling Curve, Bill Deluge Mean Mnuchin Makes Fed’s Job Harder(抜粋)