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BMWと現代自が関税を発動しないよう米当局に求める-GMに続き
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自動車メーカーによる懸念は「まやかし」-ナバロNTC委員長
カナダの自動車部品メーカー、マグナ・インターナショナルも、自動車関税を発動させないよう米国に促す動きに加わった。
米国での自動車サプライヤー最大手の1社であるマグナは、ウェブ上で公開した6月29日付のロス米商務長官宛て書簡で、自動車関税案が発動されれば、米国、カナダ両国にマイナスの影響を及ぼすだけでなく、失業や消費者にとって値上がりを招くだろうと指摘した。
マグナのジェームズ・トービン最高マーケティング責任者(CMO)は、「輸入自動車ないし部品に関税などの貿易障壁を設ければ、米経済は弱まり、米自動車業界全体が損なわれる恐れがある」と主張した。
これに先立ち、米ゼネラル・モーターズ(GM)とドイツのBMW、韓国の現代自動車が自動車関税措置を発動しないよう米商務省に呼び掛けていた。ただ、ホワイトハウスのナバロ米国家通商会議(NTC)委員長は各社の懸念を「まやかし」だと指摘している。
BMWはロス商務長官宛ての書簡で、「これらの制裁を科すという脅しには特定の目的を達成する意図があるように思われる」と主張。独紙ウェルト日曜版が書簡の写しを引用して報じた。BMWは米サウスカロライナ州スパータンバーグにある自社工場に約90億ドル(約9970億円)を投資し、米国の12万人余りの雇用を支えていると説明した。また、現代自動車は関税が賦課されれば同社にとっては「壊滅的」で、米国での生産拡大の計画が台無しになると、商務省に訴えた。
GMは6月29日に商務省に提出した意見書で、輸入車や自動車部品に広く関税が課されることになれば、同社の米国での事業縮小や雇用削減につながりかねないと警告した。同社はメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)の下、政治的論争を避ける傾向にあり、こうした率直なコメントは業界アナリストらを驚かせた。
オートトレーダー・ドット・コムのアナリスト、ミシェル・クレブス氏はこのコメントについて、「GMとその従業員、消費者にとって影響がいかに深刻なものになるかを示している」と述べた。
これに対してナバロ委員長は30日、CNNとのインタビューでGMについて、世間を欺くための「まやかし」と批判。関税がGM車1台当たりの価格に与える影響は「豪華な車のフロアマット1枚分」と同程度だと述べた。
トランプ大統領は7月1日放送されたFOXニュースの番組「サンデー・モーニング・フューチャーズ」でのインタビューで、欧州連合(EU)が米国製自動車に障壁を設けていることなどを理由に関税の必要性を強調。「EUは恐らく中国と同じくらい悪い。ただ規模が小さいだけだ」とし、「彼らはメルセデスを送り込んでくる。われわれの車は送ることができない」と述べた。
トランプ氏は先月29日、大統領専用機「エアフォースワン」の機内で記者団に対し、米商務省による自動車に関する通商関連の調査は「3-4週間」で完了するとの見通しを示した。