国会が閉幕したこの週末、メディアは今通常国会を振り返って政府・自民党の横暴な議会運営を批判した。相変わらずの論調がメディアを賑わしていた。横暴で強引で説明責任を果たさない政府・自民党。安倍首相は憲政史上に汚名を残した首相であり、国民の政治不信はつのる一方である。テレビのコメンテーターや著名ジャーナリストが異口同音に同じことを言っている。新聞の論調も似たり寄ったりだ。民主政治の根幹を揺るがす強権政治と政府与党を批判していた。安倍首相を擁護する気はさらさらないが、こうした一方的な論調を目にするとついつい言いたくなる。「健全な野党が健全な政府をつくる」。政治不信の原因は与党だけではない野党にもある。そのことを誰も言わないことが不健全だ。

今国会の最大の特徴を一言で言えば、安倍首相が国民から見放されたことだ。財務省の公文書書き換え問題、防衛省の日報問題、厚生労働省の目に余るデータ処理のいい加減さ。政権の根幹を揺るがす不祥事が相次いで発覚した。昨年来問題になっているモリ・カケ問題にもケリはついていない。政権の支持率は下がる一方で、野党にとっては政権奪取に向けたまたとない好機到来だった。こうした中で野党は何をしたか。証人喚問に審議拒否、延長国会では一転して徹底審議に内閣不信任決議案の提出。挙げ句の果てには参議院議員が国会の壇上からステーカーをかざして政権批判を繰り返した。いずれもパフォーマンスに過ぎない。ポピュリズムに徹したパフォーマンスで政権が獲れるなら政治家は苦労しないだろう。

野党にとって安倍政権は未だかつてない最高の政権と言ってのではないか。中身のない自己中心的なパフォーマンスが、この政権が続いている限りどこでも、いつでも可能なのである。デモをして「人殺し大臣」とヤジっても誰にも咎められない。メディアは有権者の声を代弁しているかのごとく野党のパフォーマンスを報道する。視点がズレてる。有権者の大半が安倍政権に不支持を表明しているのである。野党のやるべきことははっきりしている。安倍政権に取って代わる政策を練り上げることだ。例えば、消費税。この撤回で野党がまとまれば政策になる。消費税には逆進性がある。これを止めることが最大の弱者対策だ。骨の折れる政策のすり合わせに時間をかけることもなく、最も安直なパフォーマンスに徹する日本の野党。これでは安倍政権は倒せない。