• 前回交渉では数日後にトランプ氏が対中関税発表、期待裏切られる
  • 習主席に米国への対処で国内から不満、二の舞い演じないよう圧力
トランプ大統領と習近平国家主席、Photographer: NICOLAS ASFOURI/AFP

米国と中国が貿易問題を最後に真剣に話し合った際、習近平国家主席の首席経済アドバイザーである劉鶴副首相は煮え湯を飲まされた。

5月にワシントンで集中的な協議を行った劉副首相は、中国が米製品の「購入を大幅に増やす」ことで合意し、貿易戦争を回避したと宣言した。中国メディアとのインタビューでは、習主席の特別代表としての自分にトランプ大統領は敬意を示し、大統領が中国と良好な関係を望んでいるとの「極めて強い感触」を得たと述べていた。

中国の劉鶴副首相、Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

だが、そのほんの数日後、トランプ氏は500億ドル(約5兆5600億円)相当の中国製品に関税を賦課すると発表し、問題をさらにエスカレートさせる道筋を作った。それまでの進展は台無しになり、劉氏は面目をつぶされた。

両国は交渉再開の可能性を現在示唆しているが、中国は前回と同じ展開が繰り返される可能性を危惧していると、匿名を条件にした中国政府関係者3人が述べた。中国政府は米国との合意を依然望み、交渉に前向きだとしつつ、米国を信頼して交渉に臨むことは難しいだろうと続けた。

中国側の不信は貿易対立の緊張緩和に難しさがあることを示す。習主席は歴代指導者の中でも有数の強力な地位に上り詰めたものの、貿易対立の対処を巡り珍しく不満の声を浴びているため、慎重にならざるを得ないという背景もある。

コンサルティング会社トリビアム・チャイナのパートナー、イーサー・イン氏は「中国側がまた取引を持ちかけて拒否されたら、習氏にもダメージが跳ね返る」と指摘。「交渉ではどちらが優位に立つかが重要だ。一度拒否され、その相手に自らまたすり寄っていけば弱腰に映る」と語った。

原題:Burned Once by Trump, China’s Xi Wary About Fresh Trade Talks(抜粋)