ジャクソンホール(米ワイオミング州) 24日 ロイター] – 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は24日、米連邦準備理事会(FRB)があと1回利上げしただけでも米経済のリセッション(景気後退)につながる恐れがあるとの考えを示し、利上げを継続するFRBの方針に警鐘を鳴らした。
ワイオミング州ジャクソンホールで開かれている経済シンポジウムに出席したブラード総裁はロイターに対し、米国債のイールドカーブについて、投資家が来年以降の成長鈍化を予想する一方、将来的なインフレの危険性を全く見込んでいないことを示していると指摘した。
これに先立ち、FRBのパウエル議長は同シンポジウムで講演し、利上げを継続する方針をあらためて表明。これを受け、米2年債と10年債の利回り差は19ベーシスポイント(bp)に縮小。イールドカーブは2007年以降で最もフラット化した。
長短金利が逆転する「逆イールド」現象はリセッションの前触れと考えられている。
ブラード総裁は「われわれは(利上げにより)イールドカーブを意図的に逆転させることになる」とした上で、「インフレ率が高くなく、インフレ期待も急激に上昇していない現状でそれをする必要はない」と述べた。
さらに、「われわれには事態の推移を見極める余裕があり、インフレ率が上昇し始めた時点でわれわれが動き出すことも可能だ」と続けた。
9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げで逆イールドが起きるかとの質問に対しては、「可能性はある。市場がその決定をどれほどタカ派と解釈するか次第だ。しかし、(逆イールドの発生は)おそらくそこまで早くはなく、今年終盤か来年になるだろう」と答えた。
市場では年内にあと2回の利上げが予想されている。
ブラード総裁は今年のFOMCで投票権を持っていない。