• カナダのフリーランド外相は28日にワシントンで協議
  • カナダが近く参加することを期待-メキシコ大統領

トランプ米大統領は27日、米国は北米自由貿易協定(NAFTA)に代わるものとしてメキシコとの新たな貿易協定に署名すると述べた。またカナダに対し、協定に参加するよう求め、参加しない場合は取り残される恐れがあると警告した。

トランプ大統領はこの日、急きょホワイトハウスの大統領執務室でメキシコとの合意について発表。メキシコのペニャニエト大統領も電話で同発表に参加し、新たな合意にカナダが近く参加することを「大いに期待している」と述べた。トランプ大統領はカナダの参加については現時点では不明だが、交渉がすぐに始まることを望むと語った。

カナダのフリーランド外相は欧州訪問を早めに切り上げ、28日にワシントンで協議を行う予定。オースティン報道官が27日に明らかにした。

部材調達比率

米通商代表部(USTR)が電子メールで送付した発表文によれば、米国とメキシコは域内での自動車の無関税輸出の条件である域内部材調達比率を現行の62.5%から75%に引き上げることや、自動車の製造工程の40-45%を時給16ドル以上の地域で行うことで合意。参加国が協定更新で合意しない限り5年後に自動失効するという米国が求めたサンセット条項を緩和し、協定を6年後に見直すことで一致した。農産物貿易の免税措置は継続する。

トランプ大統領はまた、一般の印象が悪いことを理由に新たな協定にはNAFTAの名称を用いないと発言。「米メキシコ貿易協定と呼ぶことにする」とし、NAFTAには「悪い意味合いがある。米国が何年にもわたってNAFTAにひどく痛めつけられたためだ」と説明した。

トランプ氏は「貿易にとって記念すべき日だ」と語り、メキシコとの合意に歓迎の意を表明した。

メキシコ・ペソとカナダ・ドルは上昇。S&P500種株価指数は前週末に続き過去最高値を更新し、ナスダック総合指数も初めて8000を突破した。自動車や鉄道株が買われた。

ファストトラック

米国とメキシコの合意は、1年前に始まったNAFTA再交渉で最大の前進となった。しかし、トランプ政権がどのようにしてこの合意について議会の承認を得るか、そしてカナダが最終合意に加わるかという問題が残る。トランプ大統領はファストトラックとも呼ばれる大統領貿易促進権限(TPA)を議会から認められて改定交渉を行っており、議会は大統領の合意内容について承認もしくは不承認のいずれかを選ぶ投票を行う。

ライトハイザーUSTR代表は27日、記者団に対し、米政府は31日に議会に書簡を送付する予定だと述べた上で、米国はカナダが週内に貿易合意に加わることを望むが、カナダには後で参加するという選択肢があるだろうと説明した。この発言は、米政権が現在の2国間合意を推し進める権限を有していると考えていることを示唆する。

しかし専門家の間にはこれを疑問視する声もある。カンター元USTR代表は、トランプ大統領がメキシコとの2国間協定批准のために再び議会に向かう必要があるだろうと指摘。「彼らは再び議会に行く必要があるだろう。2カ国との協定から撤退し、2国間協定を結ぼうとすれば、恐らく極めて強い政治的反応を引き起こす」と説明した。

カナダはNAFTAの見直しには引き続き、同国の署名が必要になると主張。フリーランド外相のオースティン報道官は27日の電子メールで、「カナダの署名が必要だ。われわれは新NAFTAがカナダとその中間層にとって良いものである場合に限り署名する」と説明した。

ライトハイザー氏は、トランプ大統領は6カ月前の通知が必要なNAFTA撤退条項を発動させる予定はないと述べた。

原題:Trump Says U.S. to Pursue Mexico Trade Deal to Replace Nafta (2)(抜粋)