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カーギルなど、移民政策の厳格化と失業率低下の影響受ける
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新プラントが十分に稼働可能かどうか分からない-アナリスト
米ひき肉供給会社最大手カーギルでは毎週月曜日にいつも人手が1000人足りず、労働力を維持し新規採用を進めるため積極的に手当を増やしている。
主に食肉加工を担う労働者が不足している背景にはトランプ政権による移民政策の厳格化と、米失業率が数十年ぶりの低水準となったことがある。同社の幹部によれば、数はカーギル全体の労働者の1%に満たないものの、人手不足は生産の鈍化につながり、マージンの高い新製品の生産に影響を及ぼしている。
好景気で世界の食肉需要が拡大する中、カーギルなどの業界大手は増産に向け、場合によって賃上げをしたり住宅やヘルスケア関連の支出を増やしたりするなど労働意欲向上のために手当を拡充せざるを得ないと説明する。
ラボバンク・インターナショナルのアナリスト、クリスティン・マクラケン氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、各社はプラントを増やしているが「それらのプラントを効率的に運営できるかどうかは分からない」と指摘。「現状を見ると、生産を十分に増やせそうにない」と話す。
米国2位の鶏肉生産・加工会社ピルグリムズ・プライドは8月の決算発表で、労働力が逼迫(ひっぱく)した状況が「短中期的には業界の能力拡大ペースを左右するだろう」との見方を示した。
食肉加工は長時間立ったまま低温の中で鋭利な機器を扱い、コンベヤーの上を流れる食肉を処理する厳しい作業だ。かつてプラントでは新たな移民にこうした仕事を提供していたが、トランプ大統領の下で移民政策が大幅に厳格化されたため、移民労働者が不足している。米国の9月の失業率が3.7%と、1969年以来の低水準だったことも人手不足に拍車を掛けている。
原題:1,000 Unfilled Jobs Force Meatpackers to Sweeten Benefits (1)(抜粋)