[エルコ(米ネバダ州)/イスタンブール 20日 ロイター] – サウジアラビア人の反政府記者ジャマル・カショギ氏がイスタンブールのサウジ総領事館訪問後に行方不明になっていた問題で、サウジ当局が同記者の死亡を確認したことを受け、欧州をはじめ各国から詳しい調査を求める批判の声が相次いでいる。

トランプ米大統領も各国に同調し、サウジにさらなる説明を求める意向を示した。ドイツは説明が「不十分」だとし、各国からのサウジへの武器販売に疑問を呈した。またフランスと欧州連合(EU)は、総領事館訪問後にカショギ氏に何が起きたか解明するため徹底調査を求めた。

トランプ氏はネバダ州訪問の際に、カショギ氏死亡を巡りサウジの高官が解任されたことについて満足しているかとの質問に「答えを見つけるまで満足しない」と語った。サウジの発表を「重要な一歩」と評価した上で、真相を解明したい意向を示した。また、米紙ワシントン・ポストのインタビューで「これまでに明らかにごまかしやうそがある」と指摘した。

カショギ氏を巡るここ数日のトランプ氏の発言は、サウジに対する「非常に厳しい」対応や経済制裁を示唆する内容から、米国の同盟国としてのサウジの役割を重視する、より融和的なものまで多岐に及んでいる。トランプ氏は先に、サウジの発表は信用できるとも述べていた。

サウジは20日、カショギ氏死亡に関する説明の根拠を示さず、同氏の遺体がどうなったかにも言及しなかった。カナダのフリーランド外相は、サウジの説明は整合性や信頼性に欠けると指摘した。トランプ氏は、事実上の最高権力者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子はカショギ氏の死亡にまつわる経緯について認識していなかった可能性があると述べた。

サウジ当局は当初、カショギ氏が領事館内で死亡したとの見方を否定していたが、20日の声明では領事館で面会者との間で争いが起き、命を落としたと説明。サウジ国籍の18人を拘束したと明らかにした。

国営メディアによると、これに関連してサルマン国王は高官5人の解任を命令。解任されたのは、ムハンマド皇太子の右腕とみられるサウド・カハタニ王室顧問と情報機関のナンバー2であるアハメド・アシリ氏ら。サルマン国王は情報機関の立て直しに向け、ムハンマド皇太子をトップとする委員会の設置も指示した。

捜査に詳しいサウジの関係者は、ムハンマド皇太子は事件につながった作戦には関与していないと指摘。また記者の殺害や誘拐は命令されていないが、サウジを批判する者を連れ戻す指令はあったと述べた。