来週開かれるASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議の議長声明案が明らかになり、南シナ海の問題で中国が進める拠点の構築に懸念を示す一方、紛争を防ぐためのルールの策定にむけた交渉が進んでいることを評価するなど、中国に一定の配慮をみせる内容となっています。ASEANの一連の首脳会議は、今月13日からシンガポールで開かれます。
開幕に先立ってNHKが入手した議長声明の草案によりますと、南シナ海の問題をめぐり、中国が人工島を造成するなど拠点の構築を進めていることについて「相互の信頼を損ね、地域の平和と安定を揺るがしかねないという懸念に留意する」として、「懸念」という文言が盛り込まれていることがわかりました。
去年の首脳会議では、中国との関係強化をはかるフィリピンが議長国を務め、「懸念」という文言は盛り込まれませんでしたが、ことしは、議長国シンガポールの意向を反映して、「懸念」という文言が復活し、国際法を重視する姿勢が打ち出されています。
一方、この草案では、南シナ海での紛争を防ぐためのルールとしてASEANと中国が策定を目指す「行動規範」について、「早期の策定に向け、交渉が進んでいる」と評価し、協力の進展を歓迎するなど、中国に一定の配慮をみせる内容となっています。
RCEPに期待示す
また、ASEANに加え、日本や中国、インドなど16か国が参加するRCEP=東アジア地域包括的経済連携については、「交渉の実質的な妥結を歓迎する」という文言が盛り込まれ、目標としている年内の交渉妥結に向けて、期待が示された形となっています。