[ワシントン 14日 ロイター] – 米労働省が14日発表した10月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.3%上昇し、9カ月ぶりの大幅な伸びとなった。市場予想と一致した。ガソリンや家賃が値上がりした。物価が安定的に伸びていることを示唆し、米連邦準備理事会(FRB)が12月に予定通り再び利上げする材料となりそうだ。

9月のCPIは0.1%上昇していた。10月の前年同月比は2.5%上昇。9月は2.3%上昇していた。

ネーションワイドのエコノミストは「FRB当局者らは、基調的な物価に一段の上向き圧力が掛かるとみて、今後数カ月間全体のCPIを鈍化させる恐れのある、エネルギー価格の変動を受け流す公算が大きい」と予想。「引き続き12月の利上げを見込んでいる」と話した。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは10月に前月比0.2%上昇し、市場予想と一致した。前月まで2カ月連続で0.1%上昇だった。10月の前年同月比は2.1%上昇。9月は2.2%上昇だった。

FRBが物価の目安として注目する個人消費支出(PCE)物価のコア指数は5カ月連続で前年同月比2.0%上昇。FRBは目標を2.0%上昇としている。

シティグループのエコノミストは「コアインフレが目標に近いがわずかに下回る状態でも、12月の利上げは妨げられない」と指摘。「ただ、底堅い成長が続いても積極的な利上げは不要との見方は強まった」と語った。

10月の前月比の内訳を見ると、ガソリンが3.0%上昇し、CPI上昇要因の3分の1以上を占めた。9月は0.2%下落していた。食品は0.1%下落。9月は横ばいだった。家庭用食品は2カ月連続で落ち込んだ。帰属家賃は0.3%上昇。9月は0.2%上昇していた。賃貸家賃は0.2%上昇した。医療費は2カ月連続で0.2%上昇。衣料は0.1%上昇。9月は0.9%上昇していた。家庭用雑貨や自動車保険、タバコも値上がりした。

一方、新車は0.2%下落。電話やインターネットのほか、娯楽用品、日用品も値を下げた。

10月の雇用統計は、失業率が49年ぶりの低水準となる3.7%、賃金の伸びは9年半ぶりの高水準を記録した。

JPモルガンのエコノミストは「中長期でみれば、こうした賃金上昇の加速は需要を下支えするほか、事業コストを押し上げる」と分析。「ただより短期では、消費者物価の見通しはドル高や軟調なエネルギー価格という問題に直面する」と見通した。