PKO=平和維持活動を統括する国連の幹部は、アフリカ中部のコンゴ民主共和国ではPKO隊員7人が死亡するなど、状況は悪化していて、日本には隊員の能力の向上に向けた支援を求める考えを示しました。
コンゴ民主共和国では、政府軍と複数の武装グループの間で戦闘が続き、国連は世界最大規模のPKOを展開しています。
しかし、戦闘が続く中、女性に対する性的な暴力の横行などが深刻で、ことしのノーベル平和賞に選ばれた医師のデニ・ムクウェゲ氏らが活動を続けています。
こうした中、国連のPKOを統括するラクロワ事務次長が22日、都内でNHKのインタビューに応じました。およそ2週間前に現地を視察したというラクロワ氏は、今月14日にPKO部隊の隊員7人が武装勢力に襲われて死亡したほか、エボラ出血熱の感染が過去最悪の事態となるなど、状況は悪化しているという認識を示しました。
そのうえで、ラクロワ氏は「武装勢力がより高度な武器を使うようになっているため、PKO部隊の訓練の実施、装備や能力の向上が課題だ。日本のような国々の支援が必要だ」と述べ、日本には隊員の能力の向上に向けた支援を求める考えを示しました。
国連は隊員1万5000人余りという世界最大規模のPKO=平和維持活動を展開していますが、死傷者が相次いでいます。
今月14日には、政府軍と合同でパトロールに当たっていたPKO部隊が武装勢力に襲われ、隊員7人が死亡しました。また、戦闘が続く状況下で深刻なのが、女性に対する性的な暴力の横行です。
ことしのノーベル平和賞に選ばれた医師のデニ・ムクウェゲ氏は、こうした暴力の被害者の治療や心のケアに取り組んでいる1人です。さらに、エボラ出血熱の流行が過去最悪の事態です。
しかし、医療関係者は戦闘が続く中で十分な活動ができず、感染は広がっています。こうした中、来月には2001年以降、政権を掌握してきたカビラ大統領の後任を選ぶ大統領選挙が予定されていますが、コンゴ民主共和国では、今後も混乱が続くことが懸念されています。