[ニューヨーク 29日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが小幅高。前日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を引き続き消化する展開となった。

パウエル議長は前日の講演で政策金利が中立金利を「若干下回る」水準にあるとの認識を表明。市場では予想よりもハト派的と受け止められ、ドルが大幅に値下がりしていた。CMEグループのFEDウオッチによると、金利先物が織り込む2019年の利上げ回数は1回だけとなっている。

ウエルズファーゴ(ニューヨーク)の為替ストラテジスト、エリック・ネルソン氏は「FRBの利上げ期待を巡って前日は織り込みの大幅な修正が入ったが、ドルを含め各市場ともやや過剰に反応したかもしれない」とし「ここからの下方修正の余地は多少限定的となる可能性がある」と述べた。

この日公表された11月7─8日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、追加利上げが「かなり早期」に正当化される公算が大きいとの見解で当局者らがおおむね一致したことが明らかになった。また利上げの打ち止め時期やその伝達方法を巡って議論が始まったことも分かった。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは議事要旨発表後、一時的に値下がりしたものの、その後は値を戻し0.13%高の96.915で推移。

ドルは朝方の指標発表を受け、当初は軟調だった。10月の個人消費支出は前月比0.6%増と7カ月ぶりの大幅な伸びとなる一方、FRBが物価の目安としているコア物価の伸びは1.8%と、2月以来の小幅な伸びにとどまった。落ち着いたインフレにより「FRBへの利上げ圧力はやや薄れる」(前出のネルソン氏)とみられる。

投資家は週末のブエノスアイレス20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)期間中に行われる米中首脳会談に注目する。トランプ大統領はこの日、中国との関税問題に関し「先は長い」とし、企業に対し関税を回避するために国内で生産するよう呼び掛けた。ポンド/ドルGBP=は約0.4%安。ブレグジット(英国の欧州連合離脱)を巡る不安が根強い。

ドル/円
NY午後3時 113.43/113.44
始値 113.38
高値 113.55
安値 113.20

ユーロ/ドル
NY午後3時 1.1388/1.1391
始値 1.1366
高値 1.1401
安値 1.1364