【ワシントン時事】トランプ米大統領は14日、大統領首席補佐官代行にミック・マルバニー行政管理予算局(OMB)長官(51)の起用を決めた。今月末で辞任するケリー首席補佐官の後任の人選は、意中の人物に次々拒まれ難航。政権の要を「代行」でしのぐ異例の展開となった。
「実際のところ、首席補佐官になりたがる人はいっぱいいた」。トランプ氏は14日夜のツイッターで、こう強がった。しかし、ケリー氏辞任発表の直後に後任として発表する予定だったペンス副大統領の首席補佐官エアーズ氏は家族との生活を理由に辞退。クリスティー前ニュージャージー州知事もトランプ氏と会った翌14日に声明を出し、「今は引き受けるときでない」と固辞した。
背景には、相次ぐ混乱やスキャンダルに対処し、「管理されることを嫌う大統領」(米メディア)を管理しなければならないという、トランプ政権特有の事情がある。ホワイトハウスによると、マルバニー氏はOMBの実務から手を引くものの、長官職にとどまる。同氏が正規の首席補佐官でなく代行となる背景について、識者からは「(トランプ氏が条件に求めた)2020年大統領選まで務めたがらなかったのだろう」(USAトゥデー紙)という見方が出ている。
下院議員から政権入りしたマルバニー氏は、忠誠心が強くトランプ氏のお気に入りとされる。ケリー氏と比べ議会や選挙をよく知り、娘婿クシュナー氏らトランプファミリーとの関係も良好だ。ただ、代行であることが「大統領を代弁する権威を弱める」(専門家)という見方があり、混乱が続くホワイトハウスを統率できるかは不透明だ。(2018/12/15-18:24)