【ソウル時事】韓国の元徴用工訴訟の原告側が新日鉄住金への賠償命令確定を受け、韓国国内にある資産の差し押さえを申し立てた問題で、原告側は8日、大邱地裁浦項支部が申請を認める決定を下したと発表した。その上で「同社が協議に応じなければ、資産の売却命令を申請せざるを得ない」と警告した。
日本政府は「賠償問題は1965年の日韓請求権協定で解決済み」との立場で、申請を受け「具体的な対応措置」の検討に入ったが、どの時点で実際に措置を取るかが焦点となる。
韓国政府は対応策を打ち出しておらず、海上自衛隊の哨戒機へのレーダー照射問題などでこじれている日韓関係がさらに悪化するのは避けられない。
裁判所が申請を認める判断を下したことで、対象資産である新日鉄住金と韓国鉄鋼大手ポスコの合弁会社PNRの株式に対し、売却が禁止されるなど資産保全措置が取られる。この後、裁判所が株を差し押さえて売却を命じれば、賠償金として現金化できるが、原告側は売却命令の申し立てはまだ行っていない。
原告側は「差し押さえを通じて資産が保全されても、現金化手続きは残っている」と強調、新日鉄住金に対し、速やかに協議に応じるよう重ねて求めた。
安倍晋三首相は6日放送のNHK番組で、申請を受けて「具体的措置」の検討を関係省庁に指示したと表明。ただ、現時点では株の現金化などの「実害」が生じていないことから、日本政府は「韓国政府の対応をぎりぎりまで待つ」(外務省幹部)として引き続き様子を見守る構えだ。(2019/01/08-20:10)