【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は1日、国務省で記者会見し、ロシアによる違反を理由に、中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄すると正式に発表した。ロシアに通告し、2日付で義務履行を停止する。米政府はロシアが条約順守に立ち返る期限を2日と定めていたが、米ロの協議は決裂。冷戦期から両国の緊張緩和に寄与してきた条約は、正式通告から6カ月後に失効する。
長官は「ロシアは米国の安全保障を危機にさらしており、われわれはINF条約に制約されるわけにはいかない」と破棄の理由を説明した。一方で、国益にかなう限り、「世界中の軍縮問題を協議する用意がある」と強調し、将来の軍備管理交渉に含みを残した。
米国は2014年、ロシアが条約に抵触する地上発射型巡航ミサイル「ノバトール9M729」の飛行実験を行ったと初めて公表。17年には同ミサイルが配備されたと批判した。
トランプ政権が昨年10月に条約を破棄する方針を表明して以降、米ロ両政府高官はジュネーブと北京で2回会談した。米側は「完全かつ検証可能な形」で条約違反のミサイルを廃棄するよう要求したが、ロシアは一貫して違反を否定。いずれも議論は平行線をたどり、交渉は決裂した。(2019/02/02-00:01)