衆議院の予算委員会が始まった。焦点は厚労省による毎月勤労統計をはじめとした統計不正の解明。立憲民主党の小川淳也議員がアベノミックスとの関係で政治の「圧力があった」と追及した。小川氏の主張はアベノミクスを良く見せかけるために、GDPが実態以上にかさ上げされていたのではないかとの趣旨だ。これに対して首相は「そんなことができるわけがない」と否定している。統計不正は誰が見ても問題である。だが小川氏が言うように圧力をかけてGDPが実態以上にかさ上げされているのが本当だとすれば、これはもう不正というより犯罪である。東京地検特捜部が強制捜査に入るべき事案となる。だが、小川氏の主張はあくまでも推論にとどまっている。言葉は激しいのだが中身がない。安倍首相に緊張感は見られなかった。

統計不正も統計法に違反しているとの指摘があり、法律違反の可能性がある。とはいえ、これはGDPの意図的なかさ上げとは異なる。もちろんこれに政治が圧力をかけ、従業員500人以上の事業所の調査を全数調査から抽出調査に変更させていたとすれば、これは明らかに犯罪だ。だが、毎月統計は実態より低い数字になった可能性があり、データを補正して差額を対象者に再支給するという動きになっている。政治的圧力というなら毎月勤労統計が実態より高くなっていなければならない。小川氏の指摘は毎日勤労統計ではなくGDPを対象としているが、趣旨は同じだろう。政治的圧力論は面白いが実証は不可能に近い。小川氏の頭の中にはモリ・カケ問題や財務省による公文書改ざん問題がちらついているのだろう。統計も改ざんされているという問題意識だ。

その可能性が全くないというつもりはないが、統計不正の問題は統計の問題というよりは官僚の倫理の問題だと思う。公僕として国民に奉仕する精神が明らかに減耗している。滅私奉公という言葉は使いたくないが、統計法を無視し、上司にも報告せず、誰も不正を正さないまま、分かっていながら黙って見過ごす。役人の根性は想像以上に劣化しているのだ。これは忖度以上に悪質だ。統計不正の根本的な問題がここにある。役人出身の小川議員に言いたいのは「論点がずれている」ということだ。官邸主導の政治が役人の劣化を招いているとすれば、これは安倍首相に責任がある。野党はそこを追求すべきだ。アベノミクスの見かけを良くするための政治的圧力、こんな質問をきいているとなんとなく力がフッと抜けてします。野党を含め日本の政治は想像以上に劣化しているのだろう。