政府は13日、巨大IT企業の透明性を確保するため、取引の監視や政策立案を総合的に行う専門組織を内閣官房に創設する方針を固めた。今秋にも発足させ、この組織の情報に基づき公正取引委員会が抜き打ち調査を行う方向だ。巨大IT企業を巡る公正な取引に関する法整備も検討する。

GAFA念頭 首相検討指示

未来投資会議であいさつする安倍首相(中央)(13日午後、首相官邸で)









投資会議であいさつする安倍首相(13日)

 安倍首相は13日、首相官邸で開かれた「未来投資会議」(議長・首相)で、専門組織のあり方を検討するよう指示した。首相は会合の中で、「デジタル市場の競争政策の調整等を行うためには、高い専門的知見とともにスピーディーな対応が可能になるよう、縦割り省庁的発想を脱した新しい体制の整備を進めたい」と述べた。

 政府の念頭にあるのは、「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの4社だ。ネット通販や検索といった便利なサービスを提供する一方、蓄積した個人情報などを背景に市場の寡占化を進めている。

 専門組織の事務局は公取委や経済産業省からの出向者で構成し、法学や情報工学、システム論の専門家も集める。変化の早いデジタル市場への対応には「従来の監督官庁のノウハウだけでは対応が難しい」(政府関係者)と判断した。

 新組織は、巨大IT企業に問題行為がないかをチェックするほか、ガイドライン(指針)の整備や法制度の立案機能も持たせる見通しだ。重要な契約条件の開示義務づけなど、取引の透明化に向けた法整備などを検討する方針だ。公取委の抜き打ち調査により、規制の実効性を高める仕組みも整える。

 巨大IT企業が、成長が見込める新興企業を早い段階で買収し、データを独占して支配力を強めることへの対策にも乗り出す。

 新興企業の買収によるデータ寡占を巡っては、2014年、フェイスブックが対話アプリ大手ワッツアップを約2兆円で買収した際にも問題になった。13日の未来投資会議では、公取委が企業合併の是非を審査する際、データの価値を踏まえて市場支配力を測るよう、独占禁止法の指針などを整備する必要性も議論された。