【ロンドン時事】ホンダが英南部スウィンドン工場を閉鎖することに、英国は大きな衝撃を受けている。公共放送BBCはニュース番組のトップで伝え、19日付のフィナンシャル・タイムズ紙も1面トップで報道。欧州連合(EU)離脱まで40日を切る中、離脱の是非をめぐる議論にも火を付けている。
「スウィンドンと英国にとって壊滅的な決定だ。深く失望している」。クラーク英民間企業相は19日に声明を出し、落胆をあらわにした。現地メディアは繰り返し報じ、関心の大きさをうかがわせた。
ホンダは1992年から英国で乗用車の生産を始め、2018年は英乗用車全体の10%強に当たる約16万台を生産した。工場が閉鎖されれば、3500人規模の雇用が失われかねない。
ホンダは19日、工場閉鎖の理由として「EU離脱は関係ない」と説明した。ただ、英国では日産自動車が生産計画の一部を撤回したほか、米フォード・モーターも工場移転を検討中と伝えられる。ガーディアン紙は「英自動車産業は『合意なき離脱』を前に道を外れつつある」と嘆いた。
下院産業委員会のリーブス委員長は「メイ首相は今すぐ『合意なき離脱』を回避しなければならない」と指摘。最大の労働組合ユナイトも「英製造業で最も優れていた自動車産業は、EU離脱の混乱で衰弱させられた」と政権批判を強めている。(2019/02/19-20:28)