【パリ時事】フランス政府は15日、燃料税増税に端を発した大規模抗議デモの収拾を目指す「国民大討論」を終了した。2カ月間にわたる住民とマクロン大統領の直接対話は連日、テレビで生中継され、マクロン氏の支持率は回復した。対照的に抗議デモは勢いを失っている。
最新の世論調査によれば、マクロン氏の支持率は31%と、抗議運動前の昨年9月の水準に回復。過去最低の23%を記録した昨年12月から大きく改善した。これまで「エリート大統領」と批判されてきたマクロン氏が、普通の住民と向き合う姿勢が評価されたとみられ、仏メディアは「大討論のおかげ」と報じている。
一方、抗議デモは、開始当初の昨年11月には全土で28万人以上に上った参加者が、今月9日には10分の1の約2万8000人に減った。デモ開催地では、周辺の店舗が軒並み休業に追い込まれ、観光客も減った。経済への悪影響は大きい。市民の間からは「もうデモはたくさんだ」と反対する声も上がっている。
ただ、政権に対する国民の信頼は薄い。13日の世論調査で、70%が「大討論は政治危機解決にはつながらない」と回答した。マクロン氏は4月、大討論での協議を踏まえた施策を発表する方針だが、「住民からの意見を大統領も政府も考慮しないだろう」と答えた人は63%に上った。不満を持つ国民の一時的な「ガス抜き」に成功したにすぎないとマクロン氏に対する冷めた見方は消えていない。(2019/03/16-16:38)