【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)離脱実現へ27日に辞意を明らかにしたメイ首相は、議会で2度否決された離脱案の週内可決を目指し、多数派工作に全力を挙げる。離脱案に反対してきたジョンソン前外相ら与党・保守党の一部は、辞意表明を受けて「メイ支持」を宣言。ただ、徹底抗戦の決意を固めた与党議員が30人前後に上るとみられており、切り崩しは困難を極めそうだ。
12日に行われた2度目の採決では、野党各党に加え、EUからの独立を重視する与党の「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」派ら75人が離脱案に反対票を投じた。このうち約20人は転向を明らかにしている。
しかし、強硬派の一人は27日、首相の離脱案が英国にもたらす将来は有権者が望んだものではないと主張。「私の選挙区の人々はメイ首相を決して信用しないだろう」と、断固反対を明言した。
メイ内閣に閣外協力している英領北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)も、首相の離脱案には「戦略的リスク」があると警告。修正が加えられない限り、党として「支持することはない」と態度を硬化させた。DUPに関しては首相の「辞任効果」は皆無だ。
それでも政府は28日、離脱案の3度目の採決を29日に行う方向で検討していると明らかにした。
離脱案が週内に議会を通過しない場合、英国は4月12日にEU離脱の期限を迎え、経済や社会生活に混乱を及ぼす「合意なき離脱」か、それとも最大2年程度の離脱延期か、選択を迫られる。メイ首相は「離脱を選んだ有権者の決断に応えることにならない」と長期延期には消極的で、「合意なき離脱」の危険がくすぶり続けている。