【ワシントン時事】ロシアによる米大統領選介入疑惑を捜査したモラー特別検察官の報告書に対し、トランプ大統領は19日、「トランプ嫌いの怒れる民主党員が書いたものだ」と猛反発した。一方、野党民主党ではトランプ氏弾劾を目指す声がくすぶり始めた。大統領選での共謀や司法妨害について、司法省は「証拠不十分」と結論付けたが、政治的対立は激化しつつある。
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19日のツイッターで、トランプ氏は「幾つかの発言は全くのでたらめで、私を悪く見せ、誰かが得するためだけのものだ」と主張した。同氏がモラー氏解任に動いたとする元法律顧問の証言など、司法妨害まがいの行為が報告書に盛り込まれたことに、強い不満を示したものとみられる。
与党共和党のロムニー上院議員は、報告書について「訴追の証拠が不十分とされたことは良いニュース」と評価した上で、「大統領ら国の最高幹部の不正直さには、吐き気を覚える」と厳しく非難した。訴追回避のため手段を選ばないトランプ氏の姿勢には、与党内にも批判が出ている。
民主党では、次期大統領選に名乗りを上げているウォーレン上院議員が19日、大統領の「不正な権力行使」を食い止める権限が議会にあると報告書に記されていると指摘。「その権限を正しく行使する手続きは弾劾だ」と強調した。ペロシ下院議長ら民主党執行部は、トランプ氏の弾劾を目指さない方針だが、党内で再び弾劾論が勢いづく可能性もある。
報告書公表後の18、19の両日に行われたロイター通信の世論調査で、トランプ氏の支持率は37%と、15日実施の調査比で3ポイント低下した。トランプ氏は「共謀も司法妨害もない。ゲームオーバー」とツイートし、幕引きを図る姿勢だが、民主党は議会を舞台に攻勢を強める構えだ。
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