自身の大豆畑を見回る農家の男性=2018年7月25日、米イリノイ州中部エフィンガム近郊

 【シカゴ時事】米国が中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に課している追加関税を10%から25%へ引き上げた。貿易摩擦の長期化が懸念される中、中国の報復関税で打撃を受けている米国の大豆農家は「我慢も限界」「状況は絶望的」などといら立ちを募らせている。

【図解】米中貿易戦争が再び激化

 「現実に起きている影響について語る農家の声を聞いてほしい」。米大豆協会のスティーブンス会長は関税引き上げを受け、トランプ大統領の貿易政策に異議を唱えた。大豆価格が低迷する中、会長は「農家の経済的、精神的な負担は無視できない」と厳しい現状を訴え、「生産者は窮地に立たされる」と先行きを憂慮する。

 米農務省によると、昨年の大豆の対中輸出量は貿易摩擦の影響で前年から74%減少。大豆先物価格は1年前に比べ約2割下落している。

 また、中国ではアフリカ豚コレラの感染が全土に拡大。大量の豚が殺処分されており、飼料となる大豆の需要が減少することも想定される。

 今回の関税引き上げに関しては、他の農業団体からも「農家に損害をもたらしている」(全米トウモロコシ生産者協会)「引き続き輸出市場の重しとなる」(全米小麦生産者協会)などと反発の声が相次いでいる。