米供給管理協会(ISM)が3日発表した5月の製造業総合景況指数は、市場の予想外に低下し、2016年10月以来の低水準となった。トランプ大統領が仕掛けた中国との貿易戦争が経済の重しになりつつある兆候が示された。
キーポイント |
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・5月のISM製造業総合景況指数は52.1-前月の52.8から低下 ・エコノミスト予想の中央値は53への上昇 ・活動の拡大を示す50はなお上回っている ・主要5項目のうち、生産と在庫、入荷遅延の3つが低下 ・18業種のうち拡大したのは11業種 |
インサイト
- 5月のISM製造業総合景況指数は、トランプ氏の大統領就任以降で最低。他の経済データでも、直近の米中関税引き上げより前から既に米製造業が不安定になっていたことが示唆されている。この日別に発表された5月の米製造業購買担当者指数(PMI)改定値は、2009年以来の水準に低下した
- 世界経済の成長減速や在庫の膨らみで製造業は既に厳しい状況にあるが、先週トランプ大統領がメキシコからの輸入品に対する関税賦課を警告したことで、さらなる悪影響が及ぶ恐れがある
- 生産指数は51.3に低下し、16年8月以来の低水準。受注残は2年ぶりの水準に低下。一方で新規受注と雇用の指数は上昇
- 輸出は上昇し、50を上回った。一方で輸入は3カ月連続で低下、49.4と2年ぶり低水準
- ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長:
- 「調査に対する回答では米中貿易対立のエスカレートへの懸念が示されたが、全般的には依然ポジティブなセンチメントが優勢だ」と発表文書で指摘
- 需要は「明らかに減速している」。貿易戦争による向かい風が強まっていることについて、「中国の問題は短期では解消されないだろう」と電話会見で発言
詳細
- 仕入価格指数は53.2に上昇し、インフレが上向き始めている可能性を示唆
- 入荷遅延指数は52に低下、顧客在庫指数は上昇した
- 統計表
原題:U.S. Factory Gauge Falls to Lowest Level of Trump Presidency (3)(抜粋)