WTO

韓国政府による輸入禁止措置をめぐるWTO=世界貿易機関の判断を日本が批判していることについて、WTOトップのアゼベド事務局長は「日本がおかしいと考える点をほかの加盟国と話し合うきっかけになる」として、紛争解決の機能を高める議論につながることに期待を示しました。

福島県などの水産物に対する韓国の輸入禁止措置をめぐって、撤廃を求める日本の主張を退けたWTOの上級委員会に対し、日本は韓国の措置が国際ルールに適合しているか判断しておらず、紛争解決の役割を果たしていないと強く批判しています。

これについて、4日にNHKの取材に応じたWTOのアゼベド事務局長は「日本の指摘には、水産物の輸入規制にとどまらず、WTOのシステムの問題まで含まれている。これは日本がおかしいと考える点をほかの加盟国と話し合うきっかけになる」として、紛争解決の機能を高める議論につながることに期待を示しました。

また、アメリカと中国の貿易摩擦が一段と激しくなっている現状について、アゼベド事務局長は「世界経済は減速しており、貿易の緊張の高まりと密接に関係している。ビジネスや消費者の動きは慎重になっており、この状況を立て直さなくてはならない」と述べました。

そのうえで、「WTOの見直しに積極的に取り組む日本のようなリーダーシップが必要だ」と述べて、今週、日本を議長国に開かれるG20=主要20か国の貿易担当の閣僚会議での議論に期待感を示しました。