• 利下げは政策手段の一部、資産購入も選択肢-ドラギ総裁
  • 政策委員会、リスクに対して取り得る手段を今後数週間に検討へ

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は追加金融緩和に近づいていることを鮮明にした。リスクが高まり、行動をとるべき根拠が増している様子だ。

  ドラギ総裁はポルトガルのシントラで開催のECB年次フォーラム冒頭演説で、見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は「追加の刺激策が必要になるだろう」と述べた。ECBはフォワードガイダンスの修正が可能であるとともに、利下げは政策手段の一部であり資産購入も選択肢だと語った。

  総裁の発言を受けてユーロは一時ドルに対して0.3%安となり、10年物ドイツ国債利回りは過去最低のマイナス0.3%を付けた。短期金融市場は12月までにECBが0.1ポイントの利下げをするとの見通しを織り込んだ。

Bets on future inflation are near record lows

  ドラギ総裁は、地政学的要因と保護主義、新興市場の脆弱(ぜいじゃく)性によるリスクは消えておらず、特に製造業の重しとなっていると分析。物価安定へのリスクに対して取り得る手段を政策委員会が今後数週間に検討すると述べ、政策行動に関する議論がECB内でより正式なものになりつつあることを示唆した。

  「危機が何かを私たちに教えたとすれば、責務を遂行するために責務の範囲内でできる限りの柔軟性を生かすということだ。将来的に物価安定で課題が生じる際には、その対応として再びそうする」と総裁は語った。

原題:Draghi Sees Prospect of More ECB Stimulus Amid Weak Inflation(抜粋)