[ワシントン/ドバイ 25日 ロイター] – 米国とイランとの間の対立は25日も一段と高まり、米国が前日に発表した制裁措置についてイランのロウハニ大統領が「知的」面で問題があると批判した一方、トランプ米大統領はイランが攻撃すれば米国は「圧倒的な力」で対応する姿勢を示した。
トランプ大統領は24日、イランの最高指導者ハメネイ師や高官らを対象とする追加制裁を科す大統領令に署名。イランのザリフ外相も週内に制裁の対象に加えられる見通しだ。
トランプ氏はこの日、「米国に関連するものにイランが攻撃を加えた場合、米国は圧倒的な力でこれに対応する。一部では、圧倒的なという言葉は抹消を意味する」とツイッターに投稿。過去に北朝鮮に対し矛先を向けた激しい口調でイランを批判した。
これに先立ち、イランのロウハニ大統領は国営テレビで中継された演説で、ハメネイ師は海外に資産を所有しておらず、米国の制裁措置は失敗すると指摘。新たな制裁は米国が必死になっていることの表れとし、「米ホワイトハウスの行動は知的障害があることを意味している」と述べた。イランはこれまでトランプ大統領に対して同様の表現を用いたことがある。
こうした中、イスラエルを訪問中のボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、米国は対イラン制裁を強化したものの、依然としてイランとの交渉を望んでいると指摘。「イランの核兵器プログラム、弾道ミサイル発射システムの追求、および国際テロやその他の有害行動への支援を、完全かつ検証可能な形で廃絶するための真の交渉に向けて(トランプ)大統領はドアを開けている。イランに必要なのは開いたドアを通ることだ」と語った。
ただイランは米国と交渉する意味はないとの立場を表明。イラン外務省のAbbas Mousavi報道官はツイッターへの投稿で、イランの最高指導者ハメネイ師や政府高官に対する追加制裁で両国の外交チャネルは永久に閉ざされたとの見方を示し、「自暴自棄になったトランプ政権は、世界の平和と安全維持のために築かれた国際的メカニズムを破壊している」と批判した。
国営ロシア通信(RIA)によると、ロシアのラブロフ外相はイランを巡る状況は危険なシナリオに向かっているとの見解を表明。米国防長官代行に就任したばかりのマーク・エスパー氏は、週内にブリュッセルで開かれる北大西洋条約機構(NATO)国防相会議に出席する際に、イランとの対立を回避する米国の取り組みへの賛同を呼び掛け、外交による解決を模索する考えを示した。