安倍晋三首相は27日夜、大阪市内のホテルで、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)出席のため来日した中国の習近平国家主席と会談した。安倍首相は「習主席と手を携えて日中新時代を切り開いていきたい」と述べ、来春に国賓として再来日するよう求めた。習氏は「温かいご招待に感謝する」と応じる考えを示した。習氏は、今月、北朝鮮の金(キム)正恩(ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談した際、金氏に日本人拉致問題に関する安倍首相の考えを伝えたことを明らかにした。
習氏の来日は国家副主席当時の2009年12月以来で、13年の国家主席就任後は初めて。中国国家主席の来日は10年11月の胡錦濤氏以来約9年ぶり。両首脳は日中関係が「完全に正常な軌道に戻った」ことを再確認し、さらなる関係の発展を図ることで一致した。
安倍首相は会談で、昨年10月の訪中で確認した「国際スタンダードの上に競争から協調へ」などの3原則に言及し「3原則の上に日中関係が新たな発展を得つつあることを歓迎する」と述べた。
さらに「来年の桜の咲く頃、習氏を国賓として日本にお迎えし、日中関係を次の高みに引き上げたい」と述べ、再来日を求めた。
習氏は安倍首相の招きに「すばらしいアイデアだ」と賛意を示した。今年、中国が建国70周年を迎え、日本が令和の時代に入ったことにも触れ「ぜひ安倍首相とハイレベルの戦略的リーダーシップを強化し、新時代にふさわしい中日関係を構築したい」と語った。
また両首脳は北朝鮮の非核化に向け、国連安全保障理事会制裁決議の完全履行の重要性を確認した。習氏は日朝関係の改善に強い支持を表明した。
安倍首相は「逃亡犯条例」改正をめぐり混乱が続く香港情勢を念頭に「一国二制度のもと、自由で開かれた香港の繁栄が重要だ」と指摘。中国で拘束されている日本の大手商社、伊藤忠商事の男性社員らの早期帰国も強く求めた。