[ウィーン 28日 ロイター] – イランのアラグチ外務次官は、28日にウィーンで開催されたイランと英仏独中ロとの高官協議で核合意維持に向けた進展は見られたものの、合意の一部履行停止を覆すには不十分との認識を示した。 

アラグチ氏は協議終了から約4時間後の会見で「一歩前進したが、まだ十分ではなく、イランの期待を満たしていない」と指摘。「今日の前進はわれわれの行為を抑止するのに十分だとは思わない」と述べた。 

英仏独はこの日の協議で、イランとの貿易向けに新設された特別目的事業体(SPV)「貿易取引支援機関(INSTEX)」が稼動し、最初の取引の処理もすでに行われていることを確認した。ただアラグチ氏は、欧州諸国がイラン産原油を輸入しておらず、依然として不十分だと主張した。 

欧州の外交官はINSTEXの運用は欧州側では始まっており取引も確認されているが、イラン側での取引が完了していないと指摘した。 

アラグチ次官はINSTEXを通じて石油を販売できないのであれば、INSTEXは無用の長物だと批判した。欧州側は、医薬品など制裁対象外物品の小規模取引しか認められないとしている。 

オーストリア、ベルギー、フィンランド、オランダ、スロベニア、スペイン、スウェーデンはこの日、共同声明を発表し、英仏独とともにINSTEXの発展に協力する意向を示した。 

アラグチ氏はまた、今回の協議に参加した全ての国が「間もなく」閣僚級会合を開催することで合意したと明らかにした。 

イランは5月、核合意に基づく義務の一部履行を停止し、高レベルのウラン濃縮再開を示唆した。関係筋によると、イランが国内に保有する低濃縮ウランの量は核合意の規定を下回っているが、現在のペースで増え続ければ今週末に上限を超過する見込みだ。