[ニューヨーク 10日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが全面安。ハト派的なトーンとなったパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言に反応した。 

パウエル議長は下院金融サービス委員会で行った半期に一度の証言で、貿易摩擦を巡る懸念や世界経済減速への不安によって米経済見通しを巡る不透明感が増しているとし、FRBは「必要に応じ行動する」と言明。今月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが実施されるとの観測が強まった。 

パウエル議長の証言を受け、ドルは対円、ユーロでこの日の安値を付けた。 

キャピタル・エコノミクスの首席米国エコノミスト、ポール・アッシュウォース氏は、米中通商協議の再開や6月の米雇用統計が底堅い内容となったこと受けて「FRBが9月まで利下げを見送ると予想していた」ものの、「パウエル議長の証言は、今月末に利下げに動くことを示唆した」と述べた。 

午後に入り公表された6月18─19日のFOMC議事要旨も、パウエル議長の発言を支えた。多くのメンバーが、世界貿易などのリスクが見通しの重しとなり続ければ、目先の利下げが正当化されるとの見方を示していたことが明らかになった。 

アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプレー氏は、近く利下げが実施されるとの観測を支える内容だったと指摘。「一部金融当局者の間では『保険』としての利下げは理解しがたい考えかもしれないが、市場は景気拡大継続に利下げが必要というシグナルを発している」と述べた。 

終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.4%安の97.097。 ドル/円JPY=は0.4%安の108.43円、ユーロ/ドルEUR=は0.4%高の1.1252ドル。 ドルは対スイスフランCHF=でも0.5%下落し、0.9892フラン。 

ドル/円 
NY終値 108.46/108.47 
始値 108.91 
高値 108.95 
安値 108.36 

ユーロ/ドル 
NY終値 1.1249/1.1253 
始値 1.1216 
高値 1.1263 
安値 1.1213