[ワシントン/ウィーン 10日 ロイター] – 米国は10日、国際原子力機関(IAEA)がウィーンで開いたイラン核合意を巡る特別理事会で、イランは合意不履行により国際的な孤立を深めていると警告した。ただ同時にイランと協議を行う用意があることも示した。 

特別理事会の開催は米国が要請。非公開で行われた同理事会で米国は「イランが核プログラムを拡大させる正当な理由はない」とし、「イランに対し、このところの核を巡る措置を取り下げ、将来的ないかなる計画も破棄するよう呼び掛ける。米国は前提条件を付けずに協議に応じる姿勢をこれまでも示しており、関係を完全に正常化する可能性があることをイランに提示している」とする声明を発表した。 

この声明の数時間後にトランプ大統領はイランがウラン濃縮度を引き上げたことを非難。「イランは長らく『秘密裏』にウランを濃縮してきた」とし、「制裁措置は間もなく大幅に強化される」とツイッターに投稿した。 

ただ米政府の声明には、イランによる秘密のウラン濃縮、および米制裁強化に関する言及はない。 米国の非難に対しイランのIAEA大使は、すべての核関連活動はIAEAの監視下にあり、イランは何も隠すことはないと述べた。 

同大使は10日、独紙のインタビューに対し、核合意に署名したすべての国が確約事項の履行にコミットすれば、イランも履行すると表明し、「すべてのパートナー国が義務を履行すれば、1時間足らずで事態を改善できる」と述べた。 

ただ米国が要請した特別理事会とは別にIAEAが開いた会合で、IAEAはイランがウラン濃縮度を4.5%に高めていると加盟国に伝えた。 イラン核合意が設定する上限は3.67%。外交筋によると、過去2週間で2回合意に違反したことになる。ただイランのロウハニ大統領は10日、イランの行動は核合意の下で容認されるとの認識を表明した。 

2015年のイラン核合意はイランが核兵器を保有するまでの期間を長引かせることが目的。イランはウラン濃縮度を引き上げているものの、核合意前の20%は下回っており、核兵器製造に必要な90%にはなお遠く及ばない水準にある。