[ニューヨーク 11日 ロイター] – 米国株式市場はダウ平均とS&P総合500が続伸し、ともに終値で最高値を更新した。トランプ政権が薬価引き下げへの取り組みとして提案していた医薬品業界に定着している「リベート(払戻金)」の慣行廃止に向けた新規則を撤回すると発表したことを受け、ヘルスケア関連銘柄が上昇した。 

リベート慣行廃止で影響を受けるとみられていた保険大手ユナイテッドヘルス・グループが5.5%高となり、ダウの上昇を支援。ダウ平均は初の2万7000ドル乗せとなった。シグナも9.2%急伸した。 

リベートは、製薬会社が医薬品の販売後に保険会社や薬剤給付管理会社(PBM)などに一部代金を払い戻すもので、薬価高騰の原因とされている。 

発表を受け、米製薬大手メルクやファイザーはそれぞれ4.5%安、2.5%安。ナスダック・バイオテク株指数.NBIは1.5%安となった。S&Pヘルスケア.SPXHCは横ばいだった。 

S&P500は取引時間中に2日連続で3000乗せとなったが、終値では同水準を維持できなかった。 

ウェドブッシュ証券(ロサンゼルス)の株式トレーディング部マネジング・ディレクター、マイケル・ジェームズ氏は、S&P500が終値で3000台を維持できなかったことは「心理的に大きなマイナス要因」とした。 

この日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が行った上院銀行委員会での証言も投資家の利下げ期待を支援し、株高につながった。 

米債利回りが上昇し、S&P金融.SPSYは0.6%高。 

米労働省が11日発表した6月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.3%上昇し、2018年1月以来1年5カ月ぶりの大幅な伸びとなった。幅広い項目のモノやサービスが値を上げた。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が今月に利下げするとの見方は変わらないとみられる。 

ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.04対1の比率で上回った。ナスダックは1.25対1で値下がり銘柄数が多かった。 

米取引所の合算出来高は61億7000万株。