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記者会見する経済産業省の猪狩克朗安全保障貿易管理課長(左)と岩松潤貿易管理課長=2019年7月13日午後5時16分、東京・霞が関の経産省、伊藤弘毅撮影

 韓国向け半導体材料の輸出規制強化に関連する発言をめぐり、経済産業省は13日、在日韓国大使館を通じて韓国側に抗議した。12日にあった日韓の事務レベル会合後の韓国当局者の発言が、双方で合意した公表範囲を超えていたり違っていたりするとして「遺憾だ」と伝えた。韓国側は再び会合を開くことを求めているが、事態は泥沼化しつつある。

 経産省によると、事務レベル会合に参加した韓国の担当者が13日、「(会合は)問題解決のための協議と呼ぶのがふさわしい」と一部報道機関の取材に答えた。輸出規制強化について、日本側に「撤回を求めた」とも発言し、同日昼に報道された。

 これを受け、経産省が同日夕方に急きょ反論のための会見を開いた。岩松潤・貿易管理課長は、一連の発言は対外的に公表することで合意した内容を逸脱していると強調。12日の会合を「協議だ」とする韓国側の発言について「協議ではなく、事実関係の説明を行う会議だと、韓国側も合意していた」とした。

 規制強化の撤回要求についても、韓国側から問題解決を求める発言はあったが、撤回の言葉は議事録で確認できなかったという。「非常に遺憾。信頼関係に影響を与えるものだ」とし、関係改善がさらに遠のいたとの認識を示した。

 また、韓国側が12日、今月24日までに再び会合を開くことを提案したと説明したことについては、提案があったことを認めた。ただ、開催に応じておらず、予定はないとしている。

 一方、韓国側の12日の説明を受けて、日本側が当初の説明を訂正する場面もあった。韓国側が「世界の部品や素材の供給網に悪影響を与える」と発言したことを否定していたが、一転して認めた。韓国側の意見を聞く場ではなく、「不規則発言だったため」(岩松課長)としている。(西山明宏、伊藤弘毅)