[ニューヨーク/ワシントン 15日 ロイター] – トランプ米政権は15日、米国への難民申請手続きに新たな基準を導入すると発表した。難民申請手続きに必要な要件を厳格化し、中米などから北上する移民流入の抑制に向け、メキシコ国境での難民申請をほぼ不可能とする。
国土安全保障省と司法省は声明で、移民に対する「新たな基準」を設ける暫定規則を導入するとし、「米国への難民申請者の基準に制約を加える」方針を示した。
暫定規則は16日から実施される見通しで、新たな基準の下、移民は米国到着前にまずメキシコやグアテマラなどの「第3国」で迫害もしくは拷問からの保護を求める難民申請が義務付けられる。これによって、第3国で申請をしていない移民によるメキシコ国境での難民申請はほぼ不可能となる。
国土安全保障省のマカリーナン長官代行は、米国への移民流入を誘発している根源を抑制する一助になると述べた。
新たな規則を巡り、人権保護団体などからは批判の声が上がっている。米国自由人権協会(ACLU)は「明らかに違法」として、提訴する構えを示している。 移民研究センターも、国境閉鎖と同様の措置で「最終兵器」に等しいとの見方を示した。
同規則の影響が及ぶ可能性のある国も反発。メキシコのエブラルド外相は、新規則が一方的にメキシコを「安全な第3国」に指定することにはならないと言明した。
グアテマラのモラレス大統領は同日訪米し、中米から米国に向かう移民抑制に向けて「安全な第3国」を巡る取り決めで合意する可能性があると伝わっていたものの、グアテマラ国内で反対の声が上がる中、同国は前日、大統領の訪米を延期すると発表した。
トランプ大統領は不法移民対策を主要政策の一つと位置付けており、2020年の米大統領選に向け成果を強調したい考え。トランプ氏はこの日、週末の不法移民摘発が「首尾良く」行われたと述べた。米紙ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、国外退去の対象となっている少なくとも2000世帯の不法移民の検挙が14日に始まる見通しと報じていた。しかし、14日夜時点で、数都市から小規模な摘発が実施されたという報告しか入っていない。