• 疑いを抱くことは合理的だと連銀当局者に気付かせる役割を担う
  • ガイトナー氏はマコネル氏の「闇を探り当てる嗅覚」に言及

米ニューヨーク連銀で金融安定担当シニアバイスプレジデントを務めるマーガレット・マコネル氏は連銀当局者らに対し、彼らが自ら認めるよりもはるかに訳の分からない状態にあるはずだと話すことが多い。

マコネル氏が統括する「アプライド・クリティカル・シンキング(ACT=批判的思考応用)」というほとんど名前が知られていない部門は、まかり間違えば大きな政策ミスにつながりかねない当局者の最も基本的な前提の死角を探り当てるという重要なマンデート(責務)を担う。

Meg McConnell team
ニューヨーク連銀の「アプライド・クリティカル・シンキング(ACT)」チームのメンバーPhotograph by Cole Wilson for Bloomberg Businessweek
Meg McConnell
マーガレット・マコネル氏Photograph by Cole Wilson for Bloomberg Businessweek

連銀の巨大なリサーチチームが絶えず答えを出す圧力にさらされる状況で、突然の危機に発展するのは、われわれが確かだと考える事柄である場合が多く、複雑な問題に直面し疑いを抱くことは合理的だと他の連銀当局者に気付かせることこそ、ACTの存在理由だ。

言い換えれば、最大のリスクは必ずしも市場にはなく、まさに連銀のビル内部に存在することさえある。

マコネル氏が公の場に姿を見せたり、微妙で慎重を要するACTの仕事の詳細を語ったりすることはめったにないが、同氏は先月のインタビューで、「私はレンズを入れ替えることに興味がある」と発言した。

同氏は「われわれが確かな事として話していることが、実はそうでないとすればどうなるだろうか。自分が分かっていると考えるストーリーよりも、悩まされる難題をもっと探すことは非常に困難な仕事だ」と述べた。

ニューヨーク連銀の総裁を務めたガイトナー元米財務長官は、金融危機への対応を振り返った回顧録の中で、マコネル氏を最も近い側近の1人に選んだ理由の一つとして、「闇を探り当てる嗅覚」に言及した。

原題:New York Fed Has a Black Swan Hunter With a ‘Flair for Darkness’(抜粋)