[ワシントン 3日 ロイター] – 米供給管理協会(ISM)が3日公表した8月の製造業景気指数は49.1と、前月の51.2から低下し、2016年8月以来初めて景気拡大・縮小の節目となる50を割り込んだ。 

米中貿易摩擦が企業業況感の重しとなる中、内訳の新規受注や雇用が悪化し、全体を圧迫した。 

日本、ユーロ圏、英国、中国ではすでに製造業活動が縮小しており、米国もこれに追随する格好となった。ただ、エコノミストが景気後退(リセッション)の水準とみなす43の水準はなお上回っている。 

8月の製造業景気指数はまた、16年1月以来の低水準となり、市場予想の51.1も下回った。同指数の低下は5カ月連続。 

ISMは「企業信頼感が著しく低下した」と指摘。「貿易は引き続き最大の課題で、輸出向け新規受注が大きく落ち込んだことがそれを示している」とした。 

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズの首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「製造業活動が縮小したことで、消費支出が持続するかが今後一段と重要になってくる」と述べた。 

内訳では、先行指標として注目される新規受注指数は47.2と、前月の50.8から低下し、12年6月以来の低水準。とりわけ、輸出向け新規受注は4.8ポイント低下し、09年4月以来の水準に落ち込んだ。 

雇用指数も47.4と51.7から低下し、16年3月以来の低水準となった。 

RDQエコノミクスの首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「関税や貿易を巡る不透明性が引き続き製造業活動を圧迫し、経済拡大に対するリスクが増大している」ことへの警告と述べた。 

業種別では、家具関連、機械、化学製品などの9業種が拡大を報告。一方、輸送機器、一次金属、電気機器・電化製品・部品など7業種が縮小を報告した。 

機械メーカーは「業界全体が幅広い減速の兆候を確認し始めている」と報告。電気機器・電化製品・部品メーカーも「関税がサプライチェーンおよび経済全体への負担になっている」と訴えた。 

FTNの首席エコノミスト、クリス・ロー氏は「これまでは、世界の製造業活動がリセッションとなる中、米国が1人勝ちという構図となっていた」と指摘。「米政府は貿易摩擦の激化を防ぐことで、こうした状況を助けることができるはずだ」と述べた。