[ニューヨーク 6日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが主要通貨に対してやや下落した。8月の米雇用統計の内容が強弱入り混じる内容となったことで米景気拡大が減速しているとの見方が裏付けられ、連邦準備理事会(FRB)が一段の利下げに動くとの観測が強まったことが背景。
FRBのパウエル議長はこの日、チューリヒで開催された討論会で、景気拡大を維持するためFRBは引き続き「適切に」行動すると再表明。現在の米景気拡大に対するリスクとして、米中の通商を巡る緊張の高まりなどを挙げた。
8月の雇用統計は非農業部門の雇用者数の伸びが13万人と、市場予想の15万8000人を下回った。小売業が7カ月連続で落ち込み、雇用全体の足を引っ張った。一方、時間当たり平均賃金は28.11ドルと、前月の28.00ドルから0.4%増加。伸びは前月の0.3%から加速し、2月以来の大きさとなった。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)の首席市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「雇用統計の内容は実にまちまちだった」とし、「今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定されるとの見方は変わらない」と述べた。
CMEグループのフェドウオッチによると、金利先物はFRBが17─18日のFOMCで25ベーシスポイント(bp)の利下げを決定するとの見方が変わっていないことを示す水準にある。
OANDA(ニューヨーク)のシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は「見通しに対する大幅なリスクが存在していることで一段の緩和が正当化される」とし、「FRBは利下げを実施することで、過去最長となっている景気拡張を維持するとみられる」と述べた。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.03%低下の98.386。前日は一時98.085と、1週間ぶりの低水準を付けていた。週初からは約0.6%の低下となり、週間ベースでの低下としては約1カ月ぶりの大きさとなる。
円は対ドルで0.05%高、対ユーロで0.11%高。
中国人民銀行(中央銀行)はこの日、今年3回目となる市中銀行の預金準備率(RRR)の引き下げを発表した。これにより9000億元(1263億5000万ドル)が金融システムに放出される。
中国の動向に影響を受けやすい豪ドルは上昇し、対米ドルで0.49%高の0.68485米ドルとなった。 オフショア市場の中国人民元は対ドルで0.5%高の7.1025元。一時は2週間ぶりの高水準を付けた。