[ダブリン 9日 ロイター] – エリザベス英女王は9日、英国の欧州連合(EU)離脱を10月末から延期する法案を裁可し、法律が成立した。ジョンソン首相は10月の欧州連合(EU)首脳会議でEU離脱協定で合意したいとの意向を示す一方で、合意なき離脱を阻止しようとする議会の動きには屈しない姿勢を示した。 

同法は、EUとの離脱合意案が10月19日までに議会で承認されず、合意なき離脱も認められなかった場合、ジョンソン首相に対し3カ月の離脱延期をEUに求めることを義務付けるもの。 

アイルランドを訪問したジョンソン首相は「議会で何が起ころうと、絶対屈しない」と発言。「英国民がわれわれに望んでいるのは、合意をとりまとめ、10月31日に離脱することだと思う」と述べた。 

離脱協定案の懸案となっているアイルランド国境問題については、横に立つバラッカー・アイルランド首相に向かって「きょう、合意にこぎ着けたいというのが、メッセージだ。合意を希望している」などと述べたものの、9日に事態は打開しないとの見方を示した。 

ジョンソン氏の次なる一手は明らかではないが、9日に総選挙の前倒しを再提案する方針で、2230GMT(日本時間10日午前7時半)前後に採決が行われる予定。ただ、否決される公算が大きい。そうなれば、首相は10月14日まで議会を閉会にする意向だ。 

英ポンドは対ドルGBP=D3で上げ幅を縮め、0.3%高の1ポンド=1.2323ドル。予想を上回る指標を受けて、ロンドン時間に一時6週間ぶり高値となる1.2385ドルまで上昇した。 

下院のバーコウ議長は9日、10月末に議長職を退任すると表明した。 

また下院は同日、合意なき離脱を巡る計画のほか議会閉会の決定を巡る政府当局者間のやり取りについて、政府に関連文書の公表を求めることを賛成多数で承認した。