台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘前会長=7日、台北
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘前会長=7日、台北

 【台北時事】来年1月の台湾総統選への出馬を検討していた鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘前会長(68)は16日深夜(日本時間17日未明)、立候補を断念すると発表した。これにより、再選を目指す与党・民進党の蔡英文総統と、最大野党・国民党の韓国瑜・高雄市長による事実上の一騎打ちの構図が固まった。

 郭氏は、7月に行われた国民党の党内予備選に出たが、敗北。国民党は韓氏を公認候補に指名した。この結果に納得しない郭氏は今月上旬、日本メディアに対して「出馬を準備している」と明言し、国民党からも離党。ところが、16日深夜に一転して「総合的に検討した結果、出馬を見送ることを決めた」と声明を出した。メディアや陣営による世論調査で、自身の支持率が伸び悩んでいることなどを考慮したとみられる。

 国民党は郭氏の出馬見送りにより、辛うじて分裂選挙を回避することになった。ただ、郭、韓氏の両陣営はこの間、激しく対立しており、国民党支持者が団結できるかどうかは予断を許さない情勢が続いている。