[ブリュッセル 20日 ロイター] – 英国が欧州連合(EU)に提出した離脱協定案の見直しに関する草案について、EU側は争点となっているアイルランド国境管理を巡る「バックストップ(安全策)」条項の問題解決にはならないとして難色を示していると、英スカイニュースが報じた。 

スカイニュースが入手した欧州委員会の文書によると、英国の草案では、1)ハードボーダー(物理的な国境)の設置が不可避、2)アイルランド全体の経済や南北協力の保護が困難、3)EU単一市場やアイルランドの立場の維持が不可能──であり、草案はバックストップの代替となり得る法的に運用可能な解決策とはいえないと指摘した。 

こうした中、英国のバークレイEU離脱担当相は20日、離脱協定案を巡りEUとの合意は可能と確信していると表明。EUのバルニエ首席交渉官との会談後、記者団に対し「合意に向けた共通の意欲が示された」とし、合意は可能と語った。 

「合意なき」離脱は双方に混乱を招くとし、欧州委員会のユンケル委員長とジョンソン英首相双方が「合意は実現可能」という明確なメッセージを発していると強調した。 

またテクニカルレベルでの会合が来週再び行われるほか、ジョンソン首相とトゥスクEU大統領が来週ニューヨークで開かれる国連総会で会談する見通しであることを明らかにした。 

アイルランドのコーブニー外相は20日、英国のEU離脱について、アイルランド国境問題を解決するような合意にはまだ近づいていないとし、英政府がしっかりした内容の提案を示す必要があると述べた。ただ、全般的なムードは改善したとの考えを示した。 

外相はBBCラジオに対し、合意は可能だとしたが、溝はまだ大きいとし、アイルランド島の情勢不安や貿易面での問題といった無秩序な離脱がもたらすリスクを強調。その上で、全般的なムードは改善したと述べた。「皆が合意を望んでいる。合意なき離脱となれば皆が損をすることになるが、アイルランドと英国が特に悪影響を受ける」と指摘した。