台風19号で長野市の千曲川の堤防が決壊した原因について、国土交通省千曲川河川事務所は、過去最大の水量による水圧と越水が重なった可能性があるとみている。
決壊したのは長野市穂保(ほやす)地区の千曲川左岸の堤防で、1984年に完成し、2007年に幅を7メートルから2倍超の17メートルにまで広げる工事をしたばかりだった。河川事務所や市などによると、13日早朝、約70メートルにわたって崩れ、同地区を中心に広範囲に浸水被害をもたらした。
決壊地点は、約7キロ下流の中野市立ケ花(たてがはな)で川幅が狭くなるため遡上(そじょう)流が入り込みやすい地形だった。
決壊地点は左岸と右岸の幅が約1000メートルあるが、立ケ花付近は約200メートルしかないため水位が上がりやすく、83年の台風の際は水位が最大11.13メートルを観測した。立ケ花で水位が上がれば上流側にも相当な水圧がかかる。今後予定していた川の掘削工事が完了すれば過去最高水位だった83年時に相当する水量でも耐えられる想定だった。しかし、今回はその水位をも超え、13日午前3時20分に12.46メートルに達した。
決壊地点では水位の上昇とともに堤防に水圧がかかり、13日午前0時55分ごろから越水が始まり、それによって堤防の外側が削られた。さらに水量が増え続けて水圧が増し、午前3時20分から5時半の間に決壊したとみられる。河川事務所の吉田俊康副所長は「川は難しい。具体的な原因について調査を進めていきたい」と話した。【ガン・クリスティーナ】