• 侵攻続けばトルコ経済を速やかに崩壊させる用意-トランプ大統領
  • 鉄鋼関税を5月の引き下げ前の水準の50%に戻す、貿易交渉は停止

トランプ米大統領は14日、シリアに侵攻したトルコに対し制裁を発動すると発表した。

トランプ大統領は声明で、トルコの鉄鋼に課している関税を5月の引き下げ前の水準である50%に戻すとともに、貿易協定を巡る交渉を停止することを明らかにした。

同大統領はまた、トランプ政権がトルコの現職・元当局者や「シリア北東部を不安定化させる行動」を取る同国の人物に制裁を科すと述べ、これらの制裁発動を認める大統領令に近く署名すると表明した。

大統領声明は「トルコの指導者がこの危険で破壊的な道を進み続けるなら、私はトルコ経済を速やかに崩壊させる用意を十分に調えている」とした。トランプ政権は昨年、トルコ製鉄鋼への関税を引き上げたが、今年5月には25%に引き下げていた。

トランプ大統領は数日前にシリア北部からの米軍撤収を指示し、トルコのエルドアン大統領による侵攻作戦実行を事実上容認する形となっていたが、今回の制裁はその決定によるダメージを食い止める取り組み。エルドアン大統領は、クルド人勢力を国境付近から押し戻して難民を再定住させるためにシリア侵攻が必要だったと説明しているが、急激な侵攻は国際的な非難を浴びている。

制裁発動のニュースを受けトルコ・リラは対ドルで下落した。

米軍に協力してきたクルド人武装勢力はトランプ大統領の決定で攻撃にさらされることになり、過激派組織「イスラム国」(IS)復活の危険も伴う。クルド人勢力はトルコ軍の侵攻を受けてIS戦闘員を収容所に確実にとどめておくことがもはやできないかもしれないと警告している。戦闘員の中には欧州出身者もいるが、出身国政府は帰国を望んでいない。

原題:U.S. to Sanction Turkey After Trump Opened Way for Move in Syria(抜粋)