量子コンピューターの大規模化に不可欠な回路を、東京大の古澤明教授らのチームが開発し、18日付の米科学誌サイエンスに発表した。現在主流の「ゲート方式」は実用的な大規模計算を行おうとすると配線が複雑になる限界があったが、この回路は大規模化に適しているという。
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量子コンピューターは、光の粒(光子)や原子などの「量子」を情報の最小単位(量子ビット)として用いる。半導体のコンピューターに比べ、飛躍的に計算能力が上がる。
従来のゲート方式では、一つずつ作製した量子ビットの間を配線でつなぐが、量子ビットが増えると配線が複雑になるため、50量子ビット程度までしか実現できていない。
古澤教授らは、光源から出る光をごく短い多数のパルスに区切り、その一つずつを量子ビットとして扱う方法で、多数の量子ビットを生成。同様のパルス発生源を複数並べ、「2次元クラスター」と呼ばれる状態を実現する回路を開発した。今回は、2万5000量子ビットが生成できたという。