今朝、いつものようにネットでニュースを見ていて目を引いたのがキッシンジャー元国務長官、民主党大統領候補のブティジェッジ氏、英労働党のコービン党首の3人。特に共通点があるわけではない。ただ単に3人の発言や行動が気になったというだけだが、それぞれが歴史の最先端を象徴しているような気がした。キッシンジャー氏は北京で開催されたブルンバーグ主催のシンポジウムで、「米国と中国は『冷戦の麓(ふもと)』にあり、制約のない暴走を許せば対立は第1次世界大戦よりもひどいものになる可能性がある」と警鐘を鳴らした。米中国交回復を実現した立役者である。と同時に政治学者でもある。その一言はいまでも国際政治に影響を与え続けている。

ブティジェッジ氏は大統領選挙に名乗りをあげている民主党候補者だ。いまのところバイデン氏やウォーレン氏、サンダース氏など有力候補の後塵を拝しているが、このところ急速に支持率を拡大している。来年2月にアイオワ州で民主党の最初の予備選挙が行われるが、つい最近同氏はここで支持率トップに躍り出た。ブルームバーグ(BB)によるとブティジェッジ氏は最近ウォール街でも人気が高まっており、民主党の有力候補に躍り出る可能性があるという。インディアナ州サウスベンド市の市長で若干37歳の若手。自ら同性愛者であると公表している。政策的には中道寄りのようだ。民主党の急進左派が大胆な経済政策を掲げているのに対して、「ハーバードとオックスフォードで教育を受け、マッキンゼーで戦後の経済安定化という課題に取り組んだ」(BB)経験から、政策的には現実主義的なアプローチを得意としているようだ。

コービン氏はジョンソン首相率いる保守党と総選挙(12月12日投票日)を戦っている英労働党の言わずと知れた党首だ。2年前の総選挙では政権獲得にあと一歩というところまで迫った。そのコービン氏は昨日、「過去40年間で最も急進的なマニフェスト(政権公約)」(BB)を打ち出した。例えば、鉄道、水道、発電、郵便などを国有化。2030年までに全国で完全な光ファイバーによるブロードバンドを実現し無料で提供。上位5%の所得者(年8万ポンド以上=約1130万円以上)に対する増税などだ。ブティジェッジ氏とは対照的にこちらは米国の急進左派並みに過激だ。いま国際社会には様々な動きが混在している。この3人以外にももちろん様々なプレイヤーがいる。誰が次の時代をつくるのか、依然として混沌としている。